広報いまばり 2020年8月号(No.315)掲載


広報いまばり 市民医学講座 No.185

 

血糖変動の「見える化」について

                

今回は糖尿病患者さん、特にインスリンなどの注射剤を使って治療中の方に欠かすことのできない血糖測定についてのお話です。血糖値は、食事や運動、ストレスなどにより一日中変動しています。注射や内服薬で血糖が下がりすぎる状態(低血糖)にも注意が必要です。患者さん自身が血糖値を知る方法として自己血糖測定があります。これは指先を穿刺してごく少量の血液で測定する方法です。測定の際にわずかですが痛みを伴うこと、仕事中や睡眠中は測れないことなどから頻回測定が難しく、その時の血糖値、すなわち「点」で血糖を見る方法です。

最近、持続的に血糖を測定する方法が開発され普及してきました。これは皮下に留置したセンサーで血糖を測る方法です。厳密には間質液(細胞と細胞の間に存在する液)中の糖を血糖値に代用しています。その都度指先を穿刺する必要がなく、専用のリーダーを腕につけたセンサーにかざすだけでその時の血糖値と、さかのぼって8時間の値の推移を見ることができます。すなわち「線」で血糖の変動を見ることができます。センサーは2週間つけたままで、入浴や運動なども可能です。血糖値はリーダー内に記録され、グラフなどで表すことにより血糖変動を「見える化」することができます。食事や行動記録とその血糖変動を照らし合わせることで今までの生活習慣の見直しや、治療薬の調節などに有益な情報が得られます。ご自身の血糖変動を知りたいという方はぜひご相談下さい。